◇◇◇ 『かまい』の風景 ◇◇◇

◇ 出会い

      5年生になる前に、大手塾の入塾テストに不合格になった男の子の話です。

  その子が、2年間、RОN塾で過ごし、逗子開成の合格を勝ち取るまでの物語

  です。

  これまで、慶応、早稲田、浅野、サレジオなど、上位校に進学した子たちがい

  ますが、その子たちには共通点がありました。出会いの時から、そのレベルま

  でたどり着くことが予測できるものが感じ取れたことです。

  ところが、その子から最初に受けた印象は、『はたして、受験までたどり着け

  るのか。』と、いうことでした。『行動』『会話』『書くこと』これらの

  全てにおいて天真爛漫な子だったからです。

  入塾当時の様子から考えると、逗子開成の合格までたどりつくことは、まった

  く予想することはできませんでした。

  ところが、2年間の間に成長して、合格を勝ち取った事実がここにあるのです。

  この2年間の成長の様子を、入塾当時の頃から思い出してみたいと思います。

◇ 入塾当時のRОN塾は・・・

  その子が5年生で入塾してきた年は、3・4年生用の教室であった第2教室

      を閉鎖した年です。(現在は、小3~6の授業を1か所で行っています。)

  チラシを撒いたり、説明会をやることなど、企業的なことは全て止めて、授業、

      プリント作成、補講に集中して、『かまい』だけで勝負する『小さな塾』にす  

  ると決心した年でした。そして、翌年には、一定の生徒数がいた『普通科』も、

  廃止しました。

  その時から、気持ちも軽くなり、本当の意味での、『かまい』だけに集中でき

  る、本当の『小さい塾』が誕生していったのです。

  そのような状況でしたので、その子が入塾した年は、4年生から進級してくる

  子がほとんどいないため、5年生の生徒数は過去最低の年でした。

  そのために、生徒数は、以前の半分の16名前後になり、それを2クラスに分け

  て、1人1人に目が届く、『かまい』に集中できる現在のスタイルが出来上が

  ったのです。

  さて、その子ですが、このような状況のもとで、RON塾の雰囲気に染まって

  いったのです。

  入塾当時の様子ですが・・・、じっとして聞くことも、ていねいに書くことも

  できない子したが、RON塾の5人の先生に、一つ一つ注意され、諭されなが

  ら、悪い癖が、徐々に薄まっていきました。

  今でも思い出すことがあります。ノートの取り方を注意すると、書くことに意識が

  いくようになり、徐々に改善し、しばらくすると、わざわざ、「見て 見て」と、

  ノートを見せに来るようになりました。

  このようにして、塾に来るのが楽しくなり、やがて、好きな科目もできてきました。

  入塾当時は、勉強ができるようになったら、もう一度、大手塾の入塾テストを

  受けると言っていたのが、いつの間にか、「俺は、この塾にはまった」「この塾

  でがんばる」と言うように変化していったのです。

  授業後の補講では最後まで残るようになり、授業がない日でも、空いている教室

  あると、自分から勉強しに来るようになっていました。

◇ RОN塾の使命とは・・・

  塾の盛衰を見ていると分かると思いますが、『できる子』を多く集めたところが

  栄えていくわけです。

  (『できる子』は、理解がはやく、与えられた課題もしっかりやり、上位校の

  合格を勝ち取っていくからです。)

  そのために、どうしても、『できない子』も、上位校の合格数が多い、勢いの

  ある塾の流れに巻き込まれて、その塾のシステムに乗り遅れないように、がん

  ばらされていくわけです。

  できる子も、できない子も、より高いところを目指していくことは、当然なこと

  で、何も間違ったことではありません。でも、できない子の多くは、高いところ

  を目指しても、がんばりきることができないのです。徐々に振り落とされていく

  わけです。やがて、目標を諦め、できないことに罪悪感さえ持ち始めていきます。

  では、『できない子』はどうすればいいのでしょうか、・・・

 

  まず、 

  子どもを『がんばらせる』と、子どもが『がんばりたくなる』、この違いをしっ

  かり理解することだと思います。

 

  早い時期から、『できる子』は、がんばることができます。なぜかと言えば、与

  えられたことができるからです。結果を出すことができるからです。できるから

  かわいがられ、結果が良いからほめられる。すべてが良い方向に向かっていきま

  す。

   ところが、

  『できない子』は、最初からがんばることができないのです。なぜかと言えば、

  与えられたことを最初から器用に処理することができないからです。そのため

  に、結果も出すこともできません。できないから怒られ、結果が悪いから怒ら

  れます。

  すべてが悪い方向に向かっていく可能性があります。 

  

  子どもを『がんばらせる』というのは、大人側から見た発想です。上で書いたよ

  うに、『できる子』にとっては問題はありませんが、『できない子』にとっては、

  大きな問題を含んでいます。

 

  では、どうすればいいのか、  

  『がんばらせる』のではなく、『がんばりたくなる』子に育てることを目指せは

  いいのです。最終的には、『できる子』と同じように、またはそれ以上に、自分

  から、猛烈に勉強する子に育っようにしてあげればいいのです。

 

  話は、逗子開成に合格していった子の話に戻ります。その子の最初の目標は、大

  手塾の入塾テストを再び受けて、合格することでした。ところが、この塾の環境

  に染まっていくうちに、塾に通う喜びを知り、勉強する喜びを知り、徐々に徐々

  にかんばりたくなっていったのです。その子にとっては、逗子開成の合格が最初

  にあったわけではなく、がんばりたくなって、逗子開成を受験していったのです。

  特に、6年の秋からの勉強に対する取り組み方は真剣そのものでした。夜中の12時

  頃まで、当然のように塾で勉強していました。

  

◇ がんばりたくなる環境

  がんばりたくなるための最大のポイントは、その子を見守っている『人』の存在

  だと思います。

  その『人』のもとで、気持ちが育ち、基本が鍛えら。自分の力で向かっていくた

  めの土台が出来上がっていくのだと思います。